往事茫々 昔のことぞしのばるる・・・

古希ちかくなった暇なオジさんが、あれこれと折にふれて思い出したことや地元の歴史などを書き留めていきます

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

コラム26 「進学競争⑤」

■ 地方の中学校の進学対策 これまでに取り上げた『受験生の手記』の久野健吉や和辻哲郎(現役生)の例などは、短期間でも東京の予備校に通うことの出来た、いわば恵まれた境遇にある受験生でした。 そうした機会に恵まれない地方の浪人生には、中学校に補習…

コラム25 「進学競争④」

■『受験生の手記』に見られる受験競争をめぐる諸相(つづき) ○予備校通いと参考書 コラム23の最後に取り上げたことですが、3月に中学校を卒業した受験生は上京して、7月の入試まで予備校に通うということがよくありました。主人公の健吉もその一人です…

コラム24  「進学競争③」

■ 小説に描かれた受験地獄 大正七年(1918)に発表された久米正雄『受験生の手記』(短編集『学生時代』所収)は、高等学校の入試制度が共通試験になる以前の明治30年代が背景となっています。 主人公の久野健吉は東北地方の中学を卒業後、一高の受験…

コラム23  「進学競争②」

■ 中学校卒業者の進路先 中学校を卒業した人たちはどんな進路を選んだのでしょうか。 上の表から、明治末にかけての10年間の推移を見ていくと、いくつか気がつくことがあります。 ○高等学校へ「進学できた人」の比率が大きく減りました。 ○教員(小学校の代…